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スタートアップ退職計画: 次のキャリアステップへスムーズに移行するための戦略

スタートアップについて語られる経験は、上場の経験といった成功体験が多いかもしれません。しかしその裏には遥かに多くの失敗しつぶれていくスタートアップが存在するのが現実で、そういうスタートアップに入ってしまった場合はどうすればいいのでしょうか?

会社が続いている限り、上場(が必ずしもゴールではありませんが、今はわかりやすく一つのゴールとして設定)を目指して貢献していくべきで、途中で諦めるな!と言う声が聞こえそうですが、実際には自分の努力では難しい様々な理由で「ここにいても先がない」状況になることは少なくありません。

そんな状況になっても次のキャリアが描けるようなスタートアップ退職計画とはどんなものでしょうか?退職のことを考えながらスタートアップで働くと言うのはありえないと思うかもしれませんが、そうではなく、失敗した時のリカバリーも考えるとこういうことが必要だ、と言う視点でまとめたいと思います。

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当たり前すぎる結論「全力で会社に貢献することが最も安全策」

スタートアップは、運転資金は数年分あれば良い方で、事業が成長しなければ資金がショートして倒産すると言う状況です。その中で成長していくと、それはそれでフェーズが変わり、必要な人材も変化していきます。その中で突如としてキャリアが見えなくなると言うことも少なくありません。こうしたことは予見が難しく、悪い結果を想定しながらそれに合った準備をすると言うのは非常に難しいです。

一方でその局面ごとに必要なことに取り組んで会社に貢献していくと自然とスキルが身につき、外でも生きる経験が積まれていきます。

スタートアップの場合、内部の情報がほとんど外に出てこないため、情報の非対称性が大きく、入社してから「こんなはずではなかった、聞いてたのと違う」と言うケースも少なくありません。そんな時は絶望して働く気を無くしてしまいそうですが、ここでも同じでその状況なりに自分ができることを考えて会社に貢献していくことで、自分の成長につながっていきます。

こうして働いているとそれなりに会社で評価されていくと思います。そのままキャリアアップもしていくかもしれません。それがベストですよね。しかし結果としてそうならなかった時、もしくはそうなっていたが続かなかった時、転職を考えるかもしれません。

そしていざ転職を考えた時には、それまで会社で何をしてきたのか、どんな結果を出し、どんなスキルや経験を身につけたのかが問われます。その時に会社に貢献しようと思ってやってきたことが外部から評価される時が来るのです。

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ただ会社から言われたことを盲目的に行うことは「スタートアップ退職計画」ではない

「会社に貢献できる」✖️「キャリア形成につながる」

ではとにかく言われたことを頑張ればいいのか?というとそれは必ずしもそうではない、と言うところに落とし穴があると思っています。

と言うのも、会社に言われたことを黙々的にやっていることで確かに貢献はできるかもしれませんが、それがキャリアに繋がらないケースも考えられるからです。会社に貢献できてかつキャリア形成に繋がる仕事をやることが重要です。
一方でやりたいことしかやらない、やると思ってなかったことはやらない、やったことないのでやらない、といったスタンスはスタートアップにおいては禁物で、変化を楽しむ、誰もやらないならば自分がやる、と言うスタンスで臨む方が結果良い方に転びます。

とはいえ、これは厳しい、キャリア形成に繋がらないというようなケースの例を挙げてみます。

  • ずっと同じことの繰り返し(学びが少ない、成長スピードの鈍化)
  • 結果を出しても上位職に上がれない(内部昇格が少なく、外から役職者が入ってくる)
  • 会社の方針、業務内容に納得感がない(うまくいくかわからないのは当然なので良いのですが、仮説段階で無理そう、やっても意味がなさそうと思うような業務は結果がどっちに転んでも学びになりにくい)

スタートアップでは、新しいことをやっていくこと自体が宿命なため、やったことないこと、必要あらば入社前に想定していなかった業務もどんどんやるべきですが、上記観点は念頭に置く必要があります。

仕事の質のピラミッド:オペレーション・施策を考える・全体を考える
方針:目的とあっている、あっていない、オペレーションなる

成長=抽象度の高い仕事への遷移

仕事には階層があると思っています。例えば「毎週メルマガを送る」という仕事で考えてみます。

  • オペレーション:メルマガの内容を考えて、ターゲットリードに向けてメルマガを送信するという業務をこなす
  • 施策検討:メルマガを送ると言う施策自体を部門の目標(例えば自社ブランディング、顧客の興味関心の把握、商談につながる接点の創出等)に対して、「毎週メルマガを送る」という業務を考案しターゲットや頻度について決定を行う
  • 全体計画:自部門の目標に対して、「毎週メルマガを送る」と言う施策自体を他の施策との兼ね合いも考慮して、KPI達成に向けた効果を考慮した上で実施の判断を行い、優先順位も考慮した上で実施するしないの判断を行う

このように仕事の内容はオペレーション→施策検討→全体計画と徐々に抽象度が上がっていくと思います。そして最初はオペレーション業務から入り、成長と共に徐々に抽象度が上がっていくのが通常かと思います。逆に言えば、「徐々に抽象度を上げられているか?」と言う観点がキャリア形成においては重要です。

自分の仕事の仕方(成長スピードや考え方、業務の質)によって徐々に仕事の抽象度を上げられていない状態であれば、目の前の仕事を一生懸命行うことに価値があります。
また、オペレーションが十分にできる状態の時に、抽象度を上げて施策検討のレイヤーで考えてみようと言う発想を持つことも大切です。

一方で自分自身の問題でないところで、同じレイヤーに留まってしまう状態は成長スピードが上がらない原因になると思われます。

マネジメント経験を積む

最初からマネージャーとして入れることに越したことはないかもしれませんが、マネージャーに上がっていくと言うキャリアは一つのキャリアアップの形だと思います(必ずしもこれが良いと思っているわけではありません)。

これを目指した時、最も自然な形は、会社と組織の成長に伴い発生したマネージャーポジションを獲得すると言う方法です。これは、成長が宿命であるスタートアップにおいては相対的に得やすい環境変化だと考えられます(裏を返すと成長していないスタートアップはこのチャンスが限られるためキャリアアップのチャンスも狭いです)。

この時重要なのは、そもそも企業が成長していったら自分の部門は拡大していくのか?それはどの程度の成長に対してどのくらい拡大するのか?と言う視点です。極端な話、労働集約的でない業務の場合、会社が成長しても人を増やす必要がなかったりします。そうなるといつまでもマネージャーは増えません。自分の部門がどの程度新しい人が入ってきているのか、また今後見込みがあるのかと言うことを見極める必要があります。

成長に伴いマネジメントポジションが生まれそう、と言うことを前提とした場合、マネージャーになるために転職することはお勧めしません。自然な方法でマネージャーに上がっていく場合、既存メンバーの中で最も適した人間をマネージャーにするわけですが、それが自分だと思った場合数年の間にそれが達成できると想像できるならば粘ったほうがいいと私は思います。

仮に転職を機にマネージャーに上げれたとしても、人間関係も仕事もゼロからやり直しです。その中でメンバーのマネジメントと言う未経験な難しい業務も加わるため、一気にハードルが上がります。これと比べると、慣れた業務においてマネジメントに入れるほうが、マネジメント力の向上に自分のリソースを割くこともできるため無理がありません。

上がれそうな見込みがありつつも、なかなかそのチャンスが訪れない、と言うようなケースが一番悩ましいですが、こういうケースはマネージャーポジションを作りにいくと言うのも良いと思います。
例えば採用するすると言いながらなかなか採用がされない、なぜなら自分が現場業務を力技で回してしまっているから、と言うような状況は割とよくあるかと思います。

ただし、これが自分が抜けた場合に回らなくなるような状況であったり、今後も拡大が見込まれていて、そうなってくると回らなくなることが見えている場合、このような予見しやすい未来について上司に訴えて採用を進めてもらう、なんなら自分がその採用業務を率先して行うと良いと思います。こうした現状認識が上司と擦りあっていてそれでも優先度の問題で進まないようであれば、こうした状況であれば最終手段として自分も外で機会を模索することも考えたい、とまで言っても良いと思います。

こうしてマネジメント経験が積めるとかなりキャリアにはプラスに効きます。自分で採用してチームを作っていった場合はより良いです。

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転職のタイミング

ではいつが転職のタイミングなのか?これは非常に難しい問いです。自分は10年の仕事人生の中で3社経験し次に4社目が決まっているという状況で、3回転職しています。その経験から答えは無いながら思うことは、「焦りは禁物」です。

特に上記で挙げたキャリア形成に繋がらないケースに直面すると、すぐにでも転職したくなると思います。しかし、転職先で同じ状況になったらより状況はひどいです。もし今の会社で次のキャリアにつながる十分な成長ができていない場合は、一度腹を括り成長志向で働く、というのも悪い選択ではありません。

何度か転職した中で一つ確かだと思ったことは、入社前に会社の状況を自分が知りたいレベルで知ることは不可能だと言うことです。特にスタートアップにおいてはこれが顕著で、外部に情報もありませんし、出ている情報が「外に出したいほど良いこと」ばかりです。これは実態をまるで反映してません。

そのため、面接にせよ、仕事内容にせよ、内定をもらい入社判断をするタイミングまでのあらゆる接点において感じた違和感は無視してはいけません。そのあ「あれ?」「ん?」という直感的な違和感は、実は的外れではなかったとわかるのは入社後とです。そんな中でも一つ感覚値として、意思決定の判断軸としてお勧めしたいポイントは「大変そうな道か」と言う点です。

大変そうだなと感じると言うことは、自分がやらなければならないこと、乗り越えなければならない壁、成長が必要となる部分、がある程度見えており、頑張らないとこれは越えられない、と思うからだと思います。ここまで解像度が上がっている状態で、かつ大変な未来への意思決定なのであればそれは少なくとも自己成長する未来が待っている可能性が高いです。

一方で、何かしらの観点でこの会社は良さそうだ、というような会社の状態に対しての判断、自分との接点では無い部分で意思決定することは危険です。つまり、自分がどう貢献できるか?これに伴い自分がどう成長できるか?という観点でイメージが持てるかということです。


今回はスタートアップにおけるキャリア形成をどう行っていくか、スタートアップ退職計画と題してまとめました。1000個に3つしか成功しない世界だからこそ、博打的なキャリアにならないよう、上手くリカバリーが必要です。そのために必要なことを書きました。参考になれば幸いです。

大企業からスタートアップへ転職した著者が見たリアルについて様々な記事を書いており、以下はそのまとめページですのでぜひ御覧ください(転職について、組織論、マーケティング、ITなど)。

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