資本金とは
会社には資本金というものがあります。会社の規模を測る指標として使われていますが、株主が事業を行うために出資したお金になります。これは返す必要のない出資金です。
ちなみに株式会社自体は資本金1円から作ることができます(登記に20万ほどかかりますが)。
先日ブログでスタートアップの資金調達の話を書きました。
ここで書いたように、最初は小額の自己資金を投入して始めたスタートアップ企業も、事業の拡大に伴い出資を頂くことや、借金をすることで事業資金を集めていきます。このときに、出資してもらい新たに出資者に株主になってもらうことで、この「資本金」が増えていくのです。
したがって資本金を見ると会社の規模がわかり、許認可取得の基準になっていたりもしますし、税制の基準として資本金が用いられていることもあります。ここでポイントなのは、出資に伴い資本金が増えていくことで困るのことは、「税金が増えること」です。
資本金1億円の壁
資本金の金額により、いくつかの壁があるのですが、そのあたりの細かい説明は割愛するとして(以下のリンク先に詳細は記載があります)、今回は資本金1億円の壁に触れたいと思います。
VCから出資して頂くと億単位のお金が入ってくることが通常です。そのため資本金が1億円を超えるのですが、資本金が1億円以下であれば以下の部分で税金のかかり方が変わります。
- 800万円以下の交際費が損金扱いになる
- 法人事業税の外形標準課税の対象外(資本金の0.525%の資本割+収益の1.26%の付加価値割)
減資メリット=節税
そこで登場するのが「減資」です。つまり資本金を減らします。
そんなことができるのだろうか?と思いますが、実はできるのです。そして資本金を減らすだけで、適応される税が代わり、節税になるのです。
減資の方法はシンプルです。
取締役会で決議 → 官報で公告
官報で公告、というのは、バランスシートを公開するということです。目的は債権者の保護で、未上場の会社は会社の状態を知る術がないので、こうして公開をするのです。
こんなことができてしまうのも、会社の規模の拡大と共に資本金が増えていき、資本金で社格がわかり、資本金ベースで課税すればよかった昔と時代が変わっても制度が変わっていないからと言えます。
しかし上場会社がこの方法を採用することは危険です。大企業の減資騒動で有名なのはシャープ、1200億円の資本金を1億円に減資しようとして、株価は大幅下落、避難も殺到し、結局5億円にした、という話です。
売上高兆円クラスのシャープにとって節税効果は薄く、債務超過ギリギリの状態で会社の実態に資本金を合わせ、資金調達し易くするのが狙いだったようです。
吉本興業が資本金125億から1億に減らしたという話などもあり、大きな企業の減資もいくも事例はあるようですが、会社の信用を図る指標になる資本金を減らすことはあまりプラスに受け取られないようです。したがって、節税のために減資して資本金を減らすというのはあくまで未上場の中小企業の金策だと思った方が良さそうです。
今回、地味な減資の話を取り上げたんですが、それは一般社員からするとあまり見えない経理の仕事の中でこういうのもあるんだと感銘を受けたからです。
まさに縁の下の力持ちだなあと思いました。
大企業からスタートアップへ転職した著者が見たリアルについて様々な記事を書いており、以下はそのまとめページですのでぜひ御覧ください(転職について、組織論、マーケティング、ITなど)。
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