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パッチワーク式、複雑な電力システム改革関連審議会・委員会整理

前回電力システム改革の全体像を以下の記事でまとめました。

では次に現在の進捗を見てみようと思い始めたら、想像以上に大変でした。それがなぜかというと、経産省・エネ庁以下で設置されている委員会が非常にたくさんあり、どういった経緯で設置され何が議論されているのかを理解するのに時間がかかったからです。

今回頭を悩ませつつ、僕が理解した委員会全体像をまとめておきたいと思います。数えてみたところここで列挙したものだけで29個ありました。このページは定期的に更新していこうと思います。ワードプレスでいい感じに表を載せる方法が思いつかず、写真、表、Google spreadsheetのリンクと三パターンで行こうかと思います。同じ内容のものが形を変えて何度か出現しますのでご了承下さい。

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委員会リスト一覧

構成としては、エネ庁の下にある「総合資源エネルギー調査会」が頭になります。この下に「電力・ガス事業分科会」「基本政策分科会」「省エネルギー・新エネルギー分科会」と大きく三つあり、その中が更に多数の委員会で構成されています。この委員会の中で様々なテーマで議論がされており、その中に更にワーキンググループ(WG)があってそこで議論されていたりもします。

以下の表は、委員会とWGをリスト化して、並べたものです。既に役目を終えたり、別の委員会と合体するこで承継されている会もあります。

分科会委員会WG発足終了目的・概要
電力・ガス事業分科会原子力小委員会5つのWGあり14/619/4第4次エネ基を受けて、原子力政策の具体化
①福島の復興・再生に向けた取組 ②原子力依存度低減に向けた課題(廃炉等)③安全性向上の追求 ④技術、人材の維持・発展 ⑤競争環境下における原子力事業のあり方 ⑥使用済燃料問題の解決に向けた取組 ⑧原子力平和利用と核不拡散への貢献
電力・ガス基本政策小委員会16/10電力・ガス分野の幅広い政策課題について、安全性、安定供給、経済効率性、環境適合というエネルギー政策の基本的視点から総合的な検討を進める
小売自由化の進捗状況・脱石炭
制度検討作業部会17/35 つの市場(ベースロード、間接オークション・間接送電権、容量、需給調整、非化石価値取引)等の詳細制度設計
ガス事業制度検討WG18/9自由化から1年、①天然ガスの安定供給の確保、②ガス料金の最大限抑制、③利用メニューの多様化と事業機会拡大、④天然ガス利用方法の拡大を目的とするガスシステ
ム改革をさらに推進するための検討
電力レジリエンWG18/10北海道大停電、自然災害を踏まえて、停電の早期復旧に向けた取組や国民への迅速かつ正確な情報発信等、災害に強い電力供給体制を構築するための課題・対策を議論
系統WG14/10再エネ増加による系統接続の問題解決
※元々は新エネルギー小委員会で開始
 電力広域的運営推進機関検証WG20/1020年成立の強靱化法を踏まえ、電力広域機関の役割の効果検証についての議論
①広域系統整備計画を策定し、地域間連系線等の整備に要する費用の一部を交付
②FIT制度に関する賦課金の交付
③太陽光パネル等の廃棄費用の積立て
石炭火力検討ワーキンググループ20/8第5次エネ基で明記された非効率石炭のフェードアウトを着実に進めるべく、新設やリプレースは最新鋭の設備(石炭はUSC相当以上)を求め、30年度のエネルギーミックスと整合的になるよう、実質的に石炭火力の発電量を火力全体の半分未満に抑える基準を設定し、取組を進める
基本政策分科会13/7政策の方向性、エネ基見直し
再生可能エネルギー主力電源化制度改革小委員会19/9再生可能エネルギーの主力電源化に向けた更な
る環境整備、FIP詳細設計、ノンファーム型接続検討
持続可能な電力システム構築小委員会19/11アグリゲーターを電気事業法上に位置付ける規定を設け、分散リソース活用のための計量制度も合理化する方向性で検討、配電事業制度設計
長期エネルギー需給見通し小委員会発電コスト検証ワーキンググループ?
15/4
15/7第4次エネ基を受けて、2030年の需給構造の見通しを策定
電力システム改革小委員会制度設計WG13/815/7電力システム改革の制度設計
➡小売自由化、自己託送、市場活性化、広域連携機関の役割
電力システム改革貫徹のための政策小委員会16/917/2※17/2取りまとめてクローズした模様
よく引用されている
 市場整備ワーキンググループ16/1016/12・ベースロード電源市場の創設
・連系線利用ルールの見直し
・容量メカニズムの創設
・非化石価値取引市場の創設
 財務会計ワーキンググループ16/1016/12・廃炉会計制度の在り方
・法人事業税の課税方式
再生可能エネルギー導入促進関連制度改革小委員会15/9*
16/4
再エネの長期安定電源化に向けたFIT制度改革
認定制度、事業開始後の管理、買取価格決定時期、コスト負担の在り方など
電力需給検証小委員会13/10*
16/4
震災後の電力需給見通しの検討
ガスシステム改革小委員会13/1116/6ガス産業のあり方や、ガス小売自由化市場の活性化、供給インフラ整備、簡易ガス事業制度のあり方
省エネルギー・新エネルギー分科会新エネルギー小委員会14/615/12①風力や太陽光など電源毎の導入拡大の在り方
②導入に必要な施策と追加的コストの分析
③固定価格買取制度の在り方
買取制度運用WG14/215/7FIT運用にあたっての必要な検討、回避可能費用についての議論、認定取得後に建設しない業者の扱いについて
太陽光発電設備の廃棄等費用の確保に関するWG19/4不法投棄の懸念、廃棄のための外部積み立ての必要性、制度設計
バイオマス持続可能性WG19/4バイオマス発電に特化した固定価格買取制度の在り方を審議、多様な燃料の活用ニーズ、輸入燃料の認証
再生可能エネルギー大量導入・次世代電力ネットワーク小委員会17/12
*19/8
FITにより顕在化した系統制約、調整力の確保や FIT 制度からの自立に向けたコスト競争力強化など
洋上風力促進WG18/12洋上風力発電の円滑な導入のため、一般海域の長期占用の統一的ルール、海運業や漁業等の海域利用との調整枠組み、促進区域の指定や公募による事業者選定に関する具体的な運用方法の検討
省エネルギー小委員会13/11改正省エネ法に基づくエネルギー使用の合理化および需要の平準化に向けた基本方針の策定
火力発電に係る判断基準WG15/719/2自由化もふまえ、火力における省エネ法の判断基準を求める(規制対象、発電効率の算出方法)、バイオマス混焼のルール
自動車判断基準WG14/519/6自動車燃費基準の検討
工場等判断基準13/8電気需要平準化時間帯の設定とそのために事業者が取り組む指針、工場エネルギー使用合理化の判断基準見直し、
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委員会を時系列で整理

以下の表は、委員会の関連性をテーマごとに時系列で見ていったものです。2020年現在も議論が続いている委員会・WGは今後も注目です。

20132014201520162017201820192020
マイルストーン第4次エネ基FIT法改正第5次エネ基
エネ基基本政策分科会
長期エネルギー需給見通し小委員会
電力システム改革電力システム改革小委員会・制度設計WG
自由化の検証電力基本政策小委員会電力・ガス基本政策小委員会
ガスシステム改革小委員会
5つの市場の制度設計電シス改革貫徹政策小委員会・市場整備WG基本政策小委員会・制度検討WG
運営の検証電力広域的運営推進機関検証WG
アグリゲーション持続可能な電力システム構築小委員会
レジリエンス向上電力需給検証小委員会電力レジリエンWG
FIT系統WG
新エネルギー小委員会・買取制度運用WG
再生可能エネルギー導入促進関連制度改革小委員会
再生可能エネルギー大量導入・次世代電力ネットワーク小委員会⇩
FIP再生可能エネルギー主力電源化制度改革小委員会
電源
原子力原子力小委員会
石炭火力発電に係る判断基準WG石炭火力検討ワーキンググループ
太陽光太陽光発電設備の廃棄等費用の確保に関するWG
風力洋上風力促進WG
バイオマスバイオマス持続可能性WG
ガスガスシステム改革小委員会ガス事業制度検討WG

こう見るとFITの議論は委員会がわかりやすく承継されながら進んでいるように見えます。そして現在はFIPの議論中です、

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スプレッドシート

以下に上に挙げた二つの表のスプレッドシートのリンクを掲載しておきます。

電力システム改革関連委員会整理
リスト 調査会,分科会,委員会,WG,発足,終了,目的・概要,接地趣旨リンク,特記事項 経済産業省 資源エネルギー庁 総合資源エネルギー調査会,電力・ガス事業分科会,原子力小委員会,5つのWGあり,14/6,19/4,第4次エネ基を受けて、原子力政策の具体化 ①福島の復興・再生に向けた取組 ②原子力依存度低減に向けた...

まとめ

電力システム改革の三本柱に向けた制度設計、そして施行後の検証や新たに見えてきた課題に対して都度新しい委員会やWGを設置してきているようです。加えて、エネルギー基本計画の策定や強靭化法といった大きな節目、そして台風や震災といった自然災害を踏まえた対応としても立ち上がっています。

それぞれの委員会での議論は独立するものではなく、それぞれが関連し合っているため、内容が重複していたり、別の委員会の資料が頻繁に引用されていたりして、理解のスピードが遅くなりがちですが、一通り見ていくとようやく流れが見えてくる感じがします。

最新の議論を行っている委員会の数はそう多くはないので、一度つかめればフォローはなんとかできそうな気がします。

しかしここで思い浮かぶ疑問は、パッチワーク方式で議論をしていて、主体である経産省は把握できているのでしょうか?個別最適の集合体が必ずしも全体最適になるわけではないですよね。

以下竹内さんの記事はこの点を鋭く突いています。

自由化したのに、計画経済?パッチワークのエネルギー政策を正そう。電力自由化とエネルギー基本計画の不思議な関係。|竹内 純子(国際環境経済研究所 理事・主席研究員)
エネルギー基本計画とは 政府が次期エネルギー基本計画策定に向け、議論を開始しました。 このエネルギー基本計画を定めるのは、エネルギー政策基本法に書かれている政府の義務で、少なくとも3年ごとに見直すこととされています。 エネルギー安定供給の確保は国民生活に必須のものですし、コストの低減や環境性の確保の観点も重要なの...

改めて電力システム改革の目的に立ち返ってみると、それは「安定供給という前提のもと、電力を自由化して様々な観点から最適なものを市場に委ねていく」ということだったかと思います。

となると当然プレイヤーとなる事業者の皆さまはお国の定めるルールをよく理解して挑まなければならないわけですが、どこで何が議論されているのかすら把握が大変なこの状況は全く事業者フレンドリーではないと言わざるを得ません。せめて後付けでも整理してまとめてほしいものです。

事業性を考えたとき、予見可能性ということがインフラビジネスのような長期事業において重要になるわけですが、パッチワーク方式には決定的に欠けていると感じます。議論の始まった次期エネルギー基本計画で修正されることを祈るばかりです。

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