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クスカの手織りでしかできないものづくり

旧友を訪ねて遥々京都北部まで足を延ばしてきました。天橋立の辺りです。そして近くにファクトリエのメルマガでクスカさんの工場があると知り、見学させて頂きました(休日にも関わらず感謝) 。

京都 手織り 丹後ちりめん ブランドKUSKA(クスカ)さんです。
今回はモノづくりの魂、競争戦略、色んな学びがあった工場見学のレポートをしたいと思います。

KUSKA 丹後のオールハンドメイドブランド 手織りのネクタイ、ストール、マフラー
KUSKAは、京都丹後で染め・商品完成まで、すべてハンドメイドにこだわった高品質のネクタイやストール、マフラーのオリジナルブランドです。
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300年の歴史がある丹後ちりめん

まずは織物がどう作られているかですが、仕組みはシンプルで、縦糸と横糸を交互に重ねていきます。下は実際に僕が見てきた織機ですが、横にシャコシャコ横にシャトルが動いているのが横糸で、横糸が動く度に縦糸が上下反転し、横糸と縦糸が重ねていっています。


クスカの看板商品は「丹後ちりめん」のネクタイなのですが、そもそも「丹後ちりめん」とは何ぞや、というと

丹後ちりめんは経糸に撚りのない生糸、緯糸に1メートルあたり3,000回前後の強い撚りをかけた生糸を交互に織り込み生地にし、その後、精練することによって糸が収縮し、緯糸の撚りがもどり、生地全面に細かい凸凹状の「シボ」がでた織物のことをいいます。ちりめんの代表的存在である「丹後ちりめん」は、このシボが最大の特徴です。ちりめんは、シボがあることにより、シワがよりにくく、しなやかな風合いに優れ、凸凹の乱反射によって染め上がりの色合いが豊かな、しかも深みのある色を醸し出すことができます。

丹後織物工業組合「丹後ちりめんの種類」https://www.tanko.or.jp/chirimen/types/


なお、この説明で出てくる「精練」は生地を弱アルカリ溶液の入った釜で炊き、水洗する作業です。
これにより、絹本来の白く柔らかなちりめんに仕上っていくと共に、大きく縮みます。下の写真は、左が精錬前、右が精錬後なのですが、縮みっぷりがよくわかります。

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敢えて機械を捨てる選択

クスカの事業戦略ですごく面白いと思ったのは、2010年にそれまでの機械の織物作りを止め、手織りに戻したことです。

手織りをすると、スピードは機械の1/50に落ちます。1日織って1.5mだそうです。
しかしこの「ゆっくりさ」が大事で、機械にはできない「ふわっと」した風合いを生み出すことができ、生地も痛まないそうです。

丹後は日本の絹織物の60%をも生産する一大生産地で、京都に近いこともあり、機械の部品、糸、など分業体制が構築されているそうです。そして着物用の生地の8割をも生産しています。しかし、他の衣料品と同様ファストファッションの隆盛の中で最盛期の数%まで生産量が落ちてしまっています。

コストでは中国製に勝てません。何か差別化が必要ですが、やみくもに違うことをやっても博打ですよね。クスカの社長さんは、機械の強みと弱みを熟知していたからこそ、手織りでしかできないモノづくり、付加価値のある差別化の方向に進めたと言っていました。

それが生地の模様にも表れています。ネクタイという選択は「生地を使う量が少ない」一方で、「最も身体の目立つ位置に付く」ために違いが発揮されやすいのかなと思いました。
選択と集中、そして最も付加価値が発揮されやすい商品への特化、経営のお手本のような姿がありました。

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手作りの織機のこだわり

クスカの手織機はすべて手作りです。製品自体だけでなく、機械までもが手作りです。僕は自ら機械から作ってしまうアパレルメーカーを初めて見ました。

こちら見るからに手作り感が満載なんですが、何が良いかというと、仕組みが一目瞭然なのです。何がどう動いているかが機械的に非常にわかりやすい。見ている僕が楽しいというだけでなく、これならば壊れた時に壊れたところが自分でわかり、自分で直せるのです。

加えて、もっとこう動かしたいという要望を自ら機械に反映させることができます。これ見ると一般的な織機よりも随分奥に長い織機だな、と思うのですが、この長さが糸が絡まず滑らかに織るのに最適だ、とたどり着いたそうです。

これが自動織機ではこうはいきません。自分が作りたいものに合わせて機械を微調整していける自由度は手作りならではだと思いました。

またこの織機、なんと1時間で組みあがるそうです。イベントなどで持って行って出先で動かしたりもするのだとか。


織機もじっと見ていると色んなこだわりが見えてきます。下の写真の白い部分は陶器だそうです。糸が摩擦で傷まないように使っているのだとか。

下は縦糸ですが、間に挟まっているのは竹です。静電気が発生しにくいので選んでいるのだとか。

下の動画を見ると縦糸の動きがよくわかります。毎回動いている意図が違うのですが、これは一本一本どれが動くかコントロールすることで模様を変えているのです。ちなみに縦糸は4000本あるので、この縦にぶら下がっている糸もそれだけあります。

感想

アパレルに限らずですが、僕は技術を活かして新しい形で世に送すことが好きです。

丹後ちりめんの織物は見ていて「美しさ」を感じました。製品そのものの美しさももちろんなのですが、高い技術、こだわりぬかれたモノづくりにも美しさを感じるし、そこには普遍的な価値があるのではないかと感じました。

廃れていく技術は時代に合わなくなったもので必要なくなる、という考え方もあるかもしれません。しかしそれは時代や消費者のニーズに表現方法が合わなくなっているだけで、技術そのものの普遍的な美しさはあるのではないか。

また、事業的にもバリューチェーンを垂直統合していて面白かったです。OEMだけでなく、商品の企画・デザインという最上流から、ものづくりの根幹、そしてまさかの製造機械までと本当に自社でやっている範囲が広いです。


1人のエンジニアとしては、技術とは何か考えさせられた工場見学でした。
選択と集中のお手本もあり、いろんな面で勉強になりました。

今回ラフな格好で行き過ぎてネクタイの試着ができなかったのですが、今年銀座で期間限定のショールームを開くそうなので、自分に合うネクタイを選ぼうと思いました。

ショップに行くには東京からだと遠すぎますが、ファクトリエ@銀座でも試着できます。

Factelier (ファクトリエ) / STORE
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