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ゼロから既存製品の代替品を立ち上げる

量産品ビジネスにおいて、既存品を置き換えるような新製品でどう戦うか、という部分を考えたいと思います。

【直撃】アンカーが狙う、40億個の「ムダな充電器」の撲滅
【直撃】アンカーが狙う、40億個の「ムダな充電器」の撲滅
毎年40億個が出荷される充電器のうち、95%はムダであるーー。スマートフォンやゲーム機器、小型家電などを購入すると、かならずパッケージに同梱されてくるのが充電器とケーブルだ。アップルのiPhon...
  • モバイルの爆発的な流通で、充電器は年間約40億個も出荷されている。
  • 窒化ガリウム(GaN)を使った新しい充電器を開発したのがアンカー。変換効率が高く、充電器を小さくできる(従来の92→96%)
  • 従来チップより今は4割高、広まっていったらいずれ価格は落ちる、安く製造するポテンシャルあり

アンカーの充電器というのは、この記事見るまで知らなかったのですが、調べてみるとすごい出力で何ポートもある充電器が並んでいてびっくりしました(30Wとかあるんですよ)。これは確かに置き換わるかもしれないなと。ただ、既存品の代替は結構難しい問題があります。

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量が出れば安くなる、安くなれば売れる、は鶏と卵

基本的に量産品は物量が増えるほど単価が下がります。これは固定費と変動費の関係にもよるのですが、設備費用などの追加投資がない前提ならば、10倍の量作ったら、製品に上乗せする固定費は1/10にできます。
一方材料費のような変動費の部分は、基本的に10倍作ったら、10倍の材料が必要なので、コストも10倍になると思うのですが、実際にはたくさん調達するほど材料の単価は落ちるので、10倍作った方が安くなるのです。

このように、作れば作るほど安くなるのが量産の世界ですなので、既存製品が出回っている中で新商品でこれを置き換えよう、というビジネスの場合難しい局面に立たされます。

最初は量が作れない→量が作れないと高い→高いと売れない→売れないと量が作れない

というループに陥るからです。
同じ価格なら、みんなGaN選ぶと思うんですよね、でもじゃあ充電自体ができないわけでもないのに、プラスαお金払って買うのか?というと、どうなんでしょうね。じゃあどうするのか、ちょっと考えてみました。

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既存製品がアプローチできない領域に進出

一番考えやすいところだと思います。従来品じゃ訴求できない市場へのアプローチ。充電器じゃ想像しにくいので考えてたんですが、少し前に話題になったところだと、WORKMANなんかまさにこれかなと思いました。

こんな感じのイメージ図が下のWORKMANのHPにあるので見てみてください。とてもわかりやすく差別化されている気がします。競合がいないブルーオーシャンを狙って利益率を確保する、というやり方ですね。

ワークマンプラス 公式サイト
ワークマンプラスの取扱商品はワークマン店舗でもお買い求めいただけます (商品の入荷状況はお近くの店舗へお問い合わせください) 風に負けない。 FieldCore 動きを追求。 Find-Out 雨に強い。 AEGIS N

欲を言えば、WORKMANの場合は競合が「やってない」のであって「やれない」わけではないと思うので、競合が「やれない、できない」ところを狙えたら、価格決定権が握れてかなりやりやすいと思います。そうして優位性を持てているうちに生産量を稼ぎ、既存品を追い上げる作戦です。

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ある程度覚悟して量産×付加価値で価格上乗せ

既存品と同じ価格まで落とすのは無理、でも既存品よりもいい製品だから作ろうとしているわけで、その部分のプレミアムがある。じゃあその分載せても買ってくれるくらいの値段にしよう、という発想です。

既存品の4割増しのアンカーの充電器、これ結構いいラインな気がしたんですよね。
恐らく普通の人は、普通にスマホなりモバイル機器を買って付属で付いてくる充電器をわざわざ追加でお金払って買うかというとNOなんじゃないかと思うんです。たとえばこれ1000円します↓
付加価値は、従来よりもスマホの充電時間が1.5倍、2ポートあります!

Anker PowerPort Mini
Anker PowerPort miniの急速充電器ならAnker(アンカー)公式オンラインストア。iPhone・AndroidやiPad等のスマホ・タブレットにおすすめの急速充電器です。

更にこれなんか、一台で4ポートもあって、スマホどころかパソコンまで充電できちゃう、4000円!高!。でもたくさんモバイル端末持っているのに、これ一台でほとんど充電できちゃう、これめっちゃほしいと思いました(そして売り切れ)

Anker PowerPort Atom III Slim (Four Ports)
Anker PowerPort Atom III Slim (4ポート)の急速充電器ならAnker(アンカー)公式オンラインストア。iPhone・AndroidやiPad等のスマホ・タブレットにおすすめの急速充電器です。

しかしこれ僕が欲しいと思うのは僕のライフスタイルがちょっと変で、充電器を持ち歩く機械が多くからな気もします。
従来品のように量産できないから、価格は高くなってしまう、でも付加価値分でアーリーアダプターの層が買ってくれる、このラインの見極めが肝なんだと思いました。

最初この記事を読んでいて、「充電器なんかいらんわ!」と思っていたのですが、ライフスタイルが変わるイメージがついて、「やっぱこれほしい!」と180度変わりました。モノの良さはライフスタイル、使い方の変化までつなげて訴求しないといけないなという気づきです。

ビジネスの商流、売り方自体を変えてしまう

この記事には書いてないのですが、当然アンカーがやってそうだなと思ったのは、「モバイル機器に充電器を標準で付けないようにするマーケティング」です。そもそも充電器が標準で付いているからみんな充電器が溢れていっているし、タダでもらえるものを敢えてお金払って買おうという発想にならないのだと思います。

例えば、アップルに充電器を付属で売ってもらうのを止めて、その代わりアンカーの充電器にリンゴマークを書いてアップルっぽい感じを出してオプション売りする、などです。単に充電器をセットにしないでもらうだけでもいいかもしれません(でもそれだとメーカーに断られそう)。
単に既存日の代替としてメーカーに標準品として採用してもらえばいいという考えもあると思いますが、それだと「溢れる充電器を失くす」ことはできないと思いました。

「自分で買わないと充電器が無い」という状態にマーケットを変えてしまうという方法です。こうなると、既存品と同じ土俵で少なくとも戦えると思います。

プレミアムモデルの投入、前金で資金を集める

こんなのことはテスラだからできるんじゃないか、と思ってしまいますが前金で必要な資金を集めて車を作る、というやり方です。

テスラが編み出した新錬金術は成功するか?
次から次と新機軸を打ち出すCEOイーロン・マスクは、また新しい資金調達方式を編み出した。25万ドル(約2800万円)の新型ロードスターの予約を開始したが、全額前金の支払いを要求しているのだ。

テスラ2代目となるロードスターは世界最速

装備が充実したファウンダーズ・シリーズ1000台限定は、まず5000ドルをカードで支払い、10日以内に24万5000ドルを振り込む必要がある。標準車の予約金は5万ドルなので5000ドルカード決済後、10日以内に4万5000ドルを振り込む。

早くて3年先に引き渡される車に3000万円近くを支払うことになる・・・

これならば、量産のための工場の設備投資に充てることも、材料の購入費用に充てることもできます。製造業は、キャッシュフローが非常に厳しくて、先に大量に資金調達してでかい工場を建て、モノができて売れてようやくお金が入る、というビジネスなので、お金が出て行ってから入ってくるまでのギャップが大きいのが苦しいところです。これをブランド力、価値のプレミアムによって逆転させてしまうという恐ろしいやり方です。



今日は製造業で新しくマーケットに参入するときの難しさと、そこを上手くやってる例を考察してみました。僕の会社も同じような困難に直面していて、ここで挙げたような方法で突破を試みています。後々成功例として取り上げられるようなスタートアップを目指して頑張ります。

P.S. 最近気持ち悪いと思った記事
【楠木建×山口周】仕事が本当にデキる人は何が違うのか?

【楠木建×山口周】仕事が本当にデキる人は何が違うのか?
まるで預言者のように、新しい時代のムーブメントを紹介する連載「The Prophet」。今回登場するのは、ベストセラー『世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか?』などで知られる山口周氏と、一...

「この人なら任せられる、という雰囲気。」がセンスであると定義
つまり仕事ができる、ということ。仕事ができるとは、人から選ばれること。「余人をもって代えがたい」というのが「仕事ができる」ということ。

点数化しやすかったり、資格という形で目に見えるスキルを身につけるだけでは市場価値がでなくなってきた、じゃあその世界で何が必要なの?センスだよね、という記事です。

山口周さんは好きで何冊か著書も拝見していたのですが、このセンスの話は正直ちょっと気持ち悪いなあと思ってしまいました。
この気持ち悪さというのは、センスを上から論じる人は、その人たち自体がセンスある前提で喋ってくることに起因しているのだと思います。

センスというと着こなしだったり見てくれのデザイン的なイメージが最初に浮かぶので、ビジュアル的にダサそうなおじさんが語っているのもギャップがあるのかもしれません。
気持ち悪い記事紹介してどうすんだよ、という感じなんですが、これに限らず、「せっかくいいこと言ってんだけど、気持ち悪い」という場面って結構あるような気がしてて、気持ち悪いことを如何に気持ち悪く言わないか、というのは面白い課題だなと思いました。

山口周さんの以下の本は話題にもなりましたが、とてもおすすめです。もともとは前職の大先輩にご紹介されて山口周さんの講演会に行ったのがきっかけでした。

世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか? 経営における「アート」と「サイエンス」山口周

boompanchさんのレビュー
boompanchさんの山口周『世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか? 経営における「アート」と「サイエンス」 (...

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