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気温を左右するのは雲、雲を左右するのは宇宙線

地球温暖化の原因は何なのか?引き続き検証中です。

前回気温のトレンドを過去に遡って見ていました。


古くから太陽の活動が地球の気温の変化と相関が高いということが言われてきています。今回は、デンマークの理論物理学と実験物理学の研究者であるヘンリク・スベンスマルクの提唱する理論に触れながら地球外からの影響による温暖化への影響について深堀していきます。

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太陽の活動と気温の相関

古くから太陽の活動と気温の相関があると言われてきたようですが、どうやってそんなことがわかるのかというと、黒点の数で太陽の活動を見ていたようです。黒点は、太陽の活動が活発で強力な磁場を発生させていることの証です。

太陽の表面に現れる黒い斑点を太陽黒点とよびます。

黒点は中央の暗部と周りの半暗部から成っており、暗部の温度は約4000度、半暗部は5500度です。光り輝く太陽の表面(光球)の温度は約6000度ですので、黒点は温度の低い部分ということになります。

黒点の温度が低いのは、そこに強い磁場があるためです。黒点の磁場は地球の数千から1万倍の強さです。この強い磁場で、太陽の表面から出てくる熱や光が妨げられるため温度が低いのです。

国立科学博物館:https://www.kahaku.go.jp/exhibitions/vm/resource/tenmon/space/sun/sun03.html

以下のグラフは1977年の論文からの引用ですが、半世紀近く前から、太陽の活動と気温の相関についての研究結果がありました。

  • a:C(14)の数(宇宙線の強度を表すことから間接的に太陽の活動がわかる)
  • b:太陽活動周期
  • c:気候変動(G1,G2:氷河から採取したO(18)から推定した気温の変化)

    ※C(14)は炭素の放射性同位体で、通常大気中のCO2の中に一定量含まれますが、宇宙線によりその量が増大するため、C(14)の個数をモニタリングすることで宇宙線の強度を間接的に知ることができます。
    太陽の磁場が強いと地球がシールドされるため宇宙線の量が減り、このC(14)の個数も減ることになります。
CLIMATE AND THE CHANGING SUN, JOHN A. EDDY
Climatic Change 1 (1977) 173-190.

このグラフは過去7000年間に渡って、大まかな太陽の活動と気候変動に相関関係があることを示しています。

半世紀も前から、太陽の活動が気候変動に影響しているらしいことは分かっていたのですが、そのメカニズムは解明されてきていませんでした。そこに一石を投資たのがスベンスマルクです。

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スベンスマルクの理論

この方、地球の気温を左右するのは地球に降り注ぐ「宇宙線の量」ということを言っています。スベンスマルクの理論については多くを以下の著書から引用します。この本は定性的理解の助けにはなるのですが、重要な部分で引用文献がない、もしくは検索しても出てこない場合があり、必要に応じて補足を追加しています。


スベンスマルクの理論では、以下のようなメカニズムで地球が寒冷化します。逆にすると温暖化します。

宇宙線が供給する電子 ➡ 雲を形成するための核の形成に寄与
よって
宇宙線が増加 ➡ 雲の量が増える。

雲が増える ➡ 太陽光を反射し、かつ低層は雲を通して宇宙へ熱を放射する
      ➡ 地球の冷却が進む

“不機嫌な”太陽-気候変動のもうひとつのシナリオ P.2
Hスベンスマルク Nコールター 青山洋

先に太陽の活動に触れましたが、この宇宙線の量に大きく寄与するのが、太陽の活動なのです。これが地球の気候変動を太陽が左右しているメカニズムになります。

しかしいきなり宇宙の話が出てきて頭が追いつきませんし、腑に落ちません。宇宙線の量が太陽の影響で増減するのはどうやら間違いなさそう、しかし宇宙線とは何なのか、そして宇宙線によってなぜ雲ができるのか、雲が本当に気温の変動に影響しているのか、このあたりが疑問です。

雲の核となる微細粒子はどうやってできるのか

雲がどのようにしてできるのか、これは私たちは中学の理科で習っています。湿った空気が上昇していき、冷やされることで水分が凝縮して水滴となり、この水滴が集まって雲になるのです。

雲ができるまで:日立キッズ
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しかしこの水滴が凝縮するためには、核となる粒子が必要です。ではこの核はどうやってできるのか?工業地域では亜硫酸ガス、その他火山灰など核となる粉じんも沢山ありそうですが、地球の多くの面積を占める海上ではどうか?

古くは,Willsonが霧箱を用いて、飽和水蒸気に放射線をあてることで発生するイオンが核を作りだし、水滴ができることを発見しました。

スベンスマルクは宇宙線に注目し、宇宙線が供給する電子が核となり、硫化ジメチルから作られた硫酸が70個ほど集まって3nmほどのクラスターを形成していくことを「SKY実験(スベンスマルクがデンマークで行った実験)」で示しました。

“不機嫌な”太陽-気候変動のもうひとつのシナリオ P.112
Hスベンスマルク Nコールター 青山洋

何となくわかったようなわからないようなところが正直なところなのですが、このメカニズムについては再現できない場合もあったり、まだ自然界の減少を説明するには不十分という指摘もあります。

引用:J. Plasma Fusion Res. Vol.90, No.2 (2014)141-145:5.宇宙線による微粒子形成.増田公明

http://www.jspf.or.jp/Journal/PDF_JSPF/jspf2014_02/jspf2014_02-141.pdf

雲と温暖化の関係

雲がどうできるかというメカニズムはやや歯切れが悪いところがありますが、大事なのは雲がどう温暖化と関係するか、です。

雲は二酸化炭素同様の水分子による温室効果と、雲の上面が太陽光を反射することによる冷却効果の相反する影響を持っておr、このプラスマイナスは、入ってくる可視光と出て行く赤外線の収支になり単純ではありません。

NASAの地球放射収支実験によれば総合すると雲は巨大なクーラーだと分かったようです。薄い雲は例外で太陽光を通すため加温効果があります(この部分は参考文献なし)。

雲は高度によってその効果が違えど、低い雲が地球冷却の60%を占めるそうです。これは太陽光を遮るとともに、雲の上面が暖かいため宇宙空間に効率よく熱を放出するからだそうです。特に重要なのは広く平らな毛布状の積層雲で、地球表面の20%を覆う(主に海洋上)。

こちら非常に重要な部分なのですが文献はなく、検索してもそれらしいものがヒットしません。

別の角度からこれを裏付けるデータが以下です。3.2km以下の低層の雲に置いて宇宙線量と気温に強い相関関係があることがわかります。

“不機嫌な”太陽-気候変動のもうひとつのシナリオ P.68
Hスベンスマルク Nコールター 青山洋

宇宙線が届くまで

宇宙線の発信元は超新星爆発で、遥か彼方から高速に近い速度で飛んできます。その平均寿命は1000〜2000千万年ほどだそうです。

これに対して、地球には外側から順に三つの防衛線があります。

太陽の磁気

地球の磁気

地球の大気

太陽の磁気:太陽風

太陽の大気圏における磁気爆発により、質量放出と呼ばれる巨大なガスの塊が放出され、強烈な太陽風の噴出が起きます。

この時生まれる衝撃波が磁気の不規則性を生み、荷電粒子の絶え間ない流れとして地球に迫ってきます。これが太陽風で、350〜750km/秒と言う速度で太陽から2〜3日かかるため、宇宙線より遥かに遅いです。

地球を覆うことで太陽系外から来る宇宙線を弾きます

地球の磁気

私たちが方位磁石を使うと北を示しますね、これは地球に磁場があるからです。また、太陽風と激突するとこの磁気圏が変形し、磁気嵐によってオーロラが生まれます。

地球の磁力線は地球の位置によりその向きが異なるわけですが、が地球表面に平行なほど宇宙線は高エネルギーでないと侵入できません。そのため最も侵入しやすいのは地球に対して磁力線が垂直な磁極になります。

最終防衛ラインの大気

地上25km程度に大気は存在するため、宇宙線は大気との衝突により核反応を起こして放射性同位体や素粒子を生み出します。この生み出された粒子がエネルギーが十分に下がるまで更に反応を繰り返し、多種多様な粒子シャワーを生成します。ほとんどの粒子は大気の中で遮蔽され、ごく一部が低い高度まで到達することになります。

この中で、地表まで届く98%がミューオンです。電子より質量が200倍重く、核力粒子パイオンが崩壊する時に生じるものの寿命は1/200万秒しかなく、幽霊のようなニュートリノを2つ放出して1つの通常の電子となるようです。1/200万秒って生成された瞬間に消えるじゃん、と思うわけですが、相対性理論によれば光速に近いミューオンは実質1/100万秒の寿命になり、海面まで到達できるそうです。



このミューオンが低層の雲の生成において重要な役割を果たすとスベンスマルクは述べています。

高エネルギーの宇宙線は3つの防衛ラインを突破して地球に降り注いでおり(ミューオンは2秒に一回私たちの頭を貫通しているそうです)これが60%を占めます。太陽風により左右される宇宙線は残りの37%です。これが雲の形成、ひいては気候変動に支配的な影響を起こしています。一方地球の磁場による変化は3%程度しかなく、地球の磁場の変化による雲形成への影響は限定的とのことです。

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過去の気候変動との対応

ここまでスベンスマルクの理論に注目しながら、宇宙線と雲の形成、雲による気候変動への影響のメカニズムを書いてきました。定性的には一定の理解ができるものの、雲のできるメカニズムや、どの程度雲が気候変動に影響しているのかなど、まだ研究が必要だと思いました。

そこで宇宙線と雲や気候変動の関係がわかるものを二つほど引用したいと思います。

宇宙線と雲の関係のデータ

こちらは地学雑誌に掲載された片岡龍峰先生の論文から抜粋。この方は調べてみると、東京工業大学 理工学研究科を経て国立極地研究所 宙空圏研究グループの准教授を務められた方のようです。

このグラフは、4つのグラフが書かれていますが、a、bは黒点の数と地場強度という太陽の活動の強さ、cが宇宙線の量、そしてdが低層の雲量です。確かに太陽の活動と宇宙線の量には見事な逆相関がみられます。

dの雲の量は毎年の振動がありますが、これは夏の陸地の上昇気流で多く発生するため、北半球と南半球では前者の方が陸地面積が大きいためです。この分を割り引いた平均値の推移を考えたとき、確かに1980年以降cの宇宙線の量のトレンドに近い動きをしているようにも見えますが、2000年に入ってからは明らかにトレンドが合いません

これは雲の量のデータが正しくないのか、低層の雲との相関がみられるのが特定の条件下だからなのか、低層の雲が変動する別の要因があるのかわかりませんが、少なくともスベンスマルクの理論が成立しないこともあることはうかがえます。

宇宙線と雲形成 ― フォーブッシュ現象で雲は減るか? ― 片岡龍峰
地学雑誌 Journal of Geography 119(3)519⊖526 2010

宇宙線と気候変動

こちらは、プルームテクトニクスを提唱した日本の地質学者で東工大の教授の丸山茂徳先生の著書から抜粋してきています。以下は過去1000年の宇宙線強度と太陽活動と気温の関係です。

  • A:宇宙線強度(屋久杉の年輪に残されたC(14)の経年変化)
  • B:太陽活動の強度変化(黒点数の変化)
  • C:気温(屋久杉の年輪に刻まれたδ13C
地球温暖化 「CO2犯人説」は世紀の大ウソ P.32
著者 : 丸山茂徳 戎崎俊一 川島博之 デビッド・アーチボルド ほか

これまで同様宇宙線の増大と太陽活動の衰弱のタイミングが高い相関で一致しています。雲の量についてのデータはありませんが、2000年までの1000年間、宇宙線強度が高いときは気温が低いという相関がみられます。

以上を総合的に判断すると、過去の気温の変動に宇宙線が関与してきたことは疑いないように見えます。だからこそ太陽の活動と気温に相関があるわけです。しかし雲の形成にどう宇宙線が影響しているかについて更なる定量的な分析が必要だと思います。

温暖化の要因は・・・

スベンスマルクの理論は過去のマクロな気候変動に対して説得力のある説明をしています。しかし近年の温暖化が全て説明できているとは言い難いです。

先ほど挙げた片岡さんのグラフでは、近年の宇宙線量の増加を示しています。これは則ち寒冷化を表すわけですが、実際にはそうなっていません。
また丸山さんのグラフでは、2000年以降太陽活動の衰弱が見て取れますが、これも寒冷化の方向です。

太陽と宇宙線のデータを見ると、地球は今寒冷化に向かっているように見えるわけですが、現在温暖化しているとすると、これは従来のトレンドと合わないことになり、別の理由で温暖化が進んでいることになります。

冒頭で挙げた本「“不機嫌な”太陽-気候変動のもうひとつのシナリオ」の中で、スベンスマルクはCO2による温暖化の影響を定量的に示すことを拒んでいる記載を残しつつ、以下の記述も残しています。

MITの著名な気象学者Richard Lindzenは2005年に「水蒸気と雲が一定なら、CO2が2倍(280-560ppm)になると物理学から直接的に平均1度の温度上昇を招く」と述べている

スベンスマルクの研究チームも1.1℃という結果を出していて、これと概ね一致という記載があることから、温暖化の主因を二酸化炭素をしていない研究者たちでも、二酸化炭素による温室効果をこの程度見ているということがわかります。

一方のIPCCですが、以下のようにCO2の増加量と気温の相関について以下のような表を示しています。単位換算が必要ですが、280ppm=594GtC、560ppm=1187GtCになり、以下のグラフで見てみると、この増加量に対応する温度上昇分は1℃ちょっとです。

なんと、両者の主張はほとんど一致しました。

IPCC 第5次評価報告書 特設ページ:第1作業部会(科学的根拠)
https://www.jccca.org/ipcc/ar5/wg1.html

IPCCは二酸化炭素犯人説賛成派の総本山、スベンスマルクや丸山先生は、反対派なわけですが、二酸化炭素による影響分については、おおむね一致という奇妙な結果がここから見受けられます。

つまりまとめると、地球の気温のマクロ変化は宇宙線の量によって変動してきており、過去の気候変動に対する説明を与えられるが、近年の温暖化はCO2によるものが280ppmあたり1℃程度見られ、IPCCによればこのトレンドは今後続いていくということでしょうか。

やっぱりCO2、悪いんじゃないか?という気がしてきました。とはいえ、ここで出した1℃という数字にしろIPCCの気候モデルにせよ信頼に足るかは疑問なため、二酸化炭素による温暖化への寄与度については検証が必要でしょう。

今後の温暖化の可能性があるとすると、最後に気になるのは、温暖化すると本当に問題なのか、です。

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