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どれだけCO2を減らせばいいのか、IPCCレポートを読み解く

温暖化にまつわるデータはIPCCが出しているものを根拠とするのが一般的です。

気候変動に関する政府間パネル(IPCC)は、気候変動に関して科学的および社会経済的な見地から包括的な評価を行い、5~6年ごとに評価報告書を公表しています。

地球温暖化に対する国際的な取り組みに科学的根拠を与える重要な資料となっており、現在の最新は2013年9月2日~26日@スウェーデン ストックホルムにおいて出された第5次評価報告書(AR5)になります。

2014年 環境省: IPCC 第5次評価報告書の概要 -WG1(自然科学的根拠) https://www.env.go.jp/earth/ipcc/5th/pdf/ar5_wg1_overview_presentation.pdf
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CO2と温度上昇の関係

IPCCは約5年おきに報告書を発行しているのですが、最新の第五次報告書では、どのくらいのCO2が排出されるとどのくらいの気温上昇につながるかということを排出量毎にシナリオを複数描いています(代表濃度経路シナリオ:Representative Concentration Pathways)。

このまま温暖化対策を行わないと、2100年までに最大4.8℃上昇するという高位参照シナリオ「RCP 8.8」に対し、パリ協定で目標値にもなった2℃以下に抑える低位安定化シナリオ「RCP 2.6」では、2050年頃に気温の上昇が2℃程度で止まるシナリオになっています。

出展:全国地球温暖化防止活動推進センターウェブサイトhttp://www.jccca.org/

では、CO2をどのくらいの排出量に抑えれば「RCP 8.5」から「RCP 2.6」にシフトすることが可能なのでしょうか。

下図より累積のCO2積算量をおおよそ2900 Gt以下に抑える必要があるということがわかります。 濃度で表すとおよそ480ppmです。 これは地球上にどれくらいのCO2があるかという積算量がどれだけ地球を温めるかということを規定するということです。

2011年までに既に1900 GtまでCO2が蓄積されており、現在は毎年35 Gtほどをここに加算させているため、ここから大きく年間排出量を減らさなければならないことになります。

「RCP 2.6」は、下図のように2025年くらいまでに年間CO2排出量はピークアウトさせ、その後徐々に減らして2070年頃にはゼロになるという相当アグレッシブな計画です。それでも達成見込みが66%という記載になっています。

ICPPの可能性の表記はわかりずらいのですが、参考までに残りの34%で何が起こるのかというと2℃に収まらず3-4℃まで上がってしまう可能性を示しています。

出展:AR5 Synthesis Report: https://www.ipcc.ch/report/ar5/syr/synthesis-report/

余談ですが、CO2の量は資料によって炭素量に換算している場合もあり、その場合は以下の計算式で換算できます。

tCO2=3.67*tC

tCO2:二酸化炭素の重量に換算したもの
tC:炭素の重量に換算したもの

また英語の資料でよく見る単位はGtですが、日本の資料でよく見る億トンに換算すると、1 Gt=10億トンになります。

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気温の閾値2℃はどこから来たのか

パリ協定では、「世界の平均気温の上昇を工業化以前から2℃以内に抑える」というのが目標として定められています。(これは前回のブログで取り上げました↓)

この「2℃」というのはどういう意味があるのか、てっきり2℃を境に地球環境への影響が甚大になるといった科学的理由があるのかと思っていたのですが、どうやらそうではなく政治的に決められたラインのようです。

何度気温が上昇したらどんな影響が出る、ということを正確に予測するのは難しいですし、気温が上がるほど影響が大きくなるため、確かに誰かがバシっと決めて目標設定をするしかありません。

調べてみると、1975年にエール大学の経済学者ウィリアム・ノードハウス氏が「摂氏2度以上の上昇は過去10万年で経験したことのない気温」に警鐘を鳴らしていたことが歴史の始まりのようです。

Infographic. Two degrees: A selected history of climate change's speed limit.
Carbon Brief:Two degrees: The history of climate change’s speed limit
https://www.carbonbrief.org/two-degrees-the-history-of-climate-changes-speed-limit
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気温が高くなるとどんな影響があるのか

気温が高くなるとどんな影響が出るのか、気温を横軸にとったときの想定される影響は幅があるものの以下のように想定されています。

出展:全国地球温暖化防止活動推進センターウェブサイトhttp://www.jccca.org/

これを見ていても、何℃以上だと問題だ、とラインを引くのは難しいことがわかります。現在までに既に1℃世界の平均気温は上昇しているわけですが、既に影響は出始めていて、わずかでも上昇を抑えるべく一刻も早く効果的なアクションが必要だと言わざるを得ません。

排出量ゼロとは排出量と吸収量がバランスした状態

2070年という未来とはいえ、「RCP 2.6」のシナリオではCO2排出量をゼロにする必要があります。全くCO2を排出しないというのは不可能なのではと思いますが、忘れてはならないのは、地球に存在するCO2を吸収してくれる森や大地の存在です。

しかしながら下図を見ると、1900年以降この排出(約37Gt)と吸収(約3Gt)のバランスは大きく崩れていることがわかります。 現在の排出量を1/10にしてようやく 排出と吸収のバランスが取れることになります。

出展:AR5 Synthesis Report: https://www.ipcc.ch/report/ar5/syr/synthesis-report/

まとめ:私たちはCO2の排出量をほとんどゼロにしなければならない

今回IPCCのレポートをベースに、CO2をどれだけ排出するとどれだけ気温上昇が起こるのか、そして平均気温上昇を2℃以下に抑えるという目標について、その背景についても触れながら、どのくらいCO2排出量を削減する必要があるのか見てきました。

平たく言ってしまえば、ほぼCO2排出量をゼロにしなければならない、ということだと思います。豊かな生活を享受する我々が生活水準を落とさずに実現できるのか、もしくは生活水準を落とすことを許容できる世の中になるのか、間違いないのは、これから50年間かけて膨大なイノベーションを起こし続けることが必要だということです。

グレタさんが叫ぶのもよくわかりますね。今度は、どうやってCO2を減らしていくかセクター毎に考えてみたいと思います。

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