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福島原発事故をわかりやすく徹底解説!なぜ事故は起きてしまったのか正しく知る

福島原発事故の現場、福島第一発電所(イチエフ)は、2011年の東日本大震災における津波の浸水で全ての電源を喪失し、原子炉が次々とメルトダウン(炉心の溶融・損傷)しました。

原発については賛否両論で、極めて政治的な題材ですが、私はその良し悪しについては取り扱いません。純粋に技術的観点から原発自体そして福島原発事故についてわかりやすく解説することをこの記事の目的と置いております。なぜ事故は起きてしまったのか、事故の最中原子力発電所内では何が起こっていたのか、徹底解説します。

なお、原子力発電のメリット・デメリット、2050年に向けてどのくらいの原子力発電が使われていくかについては以下の記事でまとめています。

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原子力発電の仕組み

核分裂

原子力発電はウランの核分裂のエネルギーを用いた発電ですが、「ウラン235」1gの核分裂によるエネルギーは、石炭3t、石油2000L分のエネルギーに相当します。桁違いのエネルギーを放出するのが核分裂であることがわかります。

核分裂によって生まれたエネルギーを水が受けて水蒸気となり、この水蒸気がタービンを回し発電します。核分裂は連鎖的に起こるのですが、ゆっくりしすぎると止まってしまいますし、早すぎると暴走します。このスピードをコントロールし、安定してさせていくことが原発の安全性において非常に重要です。

この途方も無いエネルギー(核分裂)をコントロールするために、水が一役買っています。それは水が核分裂時に生まれる中性子を減速する効果と燃料を冷やすことができるからです。

それゆえ福島原発事故後の対応では「如何に水を炉内に注入するか」が大きな焦点になっていました。

核燃料は二重の容器に覆われている

核燃料が入っている容器が「原子炉圧力容器」、その外側に「原子炉格納容器:ドライウェル」があります。圧力容器の方が圧力は10倍くらい高いです。

「制御棒」により核燃料の核分裂反応をコントロールします。

ドライウェルの圧力が高くなったときは、圧力を逃がすため、「圧力抑制室:サプレッションチェンバー」を介してドライウェル内の気体を外部へ排出します。直接排気すると放射線をまき散らすので、サプレッションチェンバーにて水を通すことで放射線量を落とします。

中国電力: 原子力発電のしくみと安全性
http://www.energia.co.jp/atom/more2.html
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福島原発事故を時系列で整理

津波で非常用電源喪失

大地震が起きると発電所のタービンは緊急停止します。これは発電するのを止めるということになります。原発は燃料を炊いて熱い蒸気を作って発電しているわけですが、電気に変換するタービンが停止したとしても、熱源の原子炉はすぐに停止できないため、エネルギーを持て余します。

ここでスクラムが起きます。核分裂を抑制する制御棒を挿入するアクションのことです。膨大な発電量を有するということは、裏を返せば、膨大なエネルギーが行き場を失わないよう、核分裂を抑えると共に「冷却することが極めて大事」です。

冷却するためには、冷たい水をかければいいのですが、核燃料に直接水をかけてしまうと汚染されてしまうので、下図のように汚染水と冷却水を熱交換することで、汚染をさせないように冷却をします(実際にはもっと複雑です)。
ここで重要なのは、冷却するには水を循環させる必要があり、そのためには大きなポンプを稼働させなければならない、つまり電気が必要ということです。

地震が起こって発電所が停止した場合、非常用発電機が動き出します。これは化石燃料によって動くディーゼル発電機です。これによって冷却のためのポンプを動かすことができます。

しかし、イチエフでは地震の約50分後の津波によりこの非常用発電機が浸水して壊れてしまいました。全交流電源喪失:SBO(Station Black Out)です。これはポンプ等の大電力(交流電源)を必要とする機器を動かせない非常事態です。

この状態でも最低限の計測器や緊急冷却総理、弁の開閉用の直流バッテリーが用意されていますが、福島原発事故時は、1号と2号はこのバッテリーまでもが津波の浸水で多数使えなくなりました。

こうなると、室内の電気だけでなく原子炉の状態を指し示す計器などの表示も見えなくなるため、弁が開いているのかどうか、温度や圧力がどうなっているのかといった原子炉の状態すらわかりません。何が起こっているのか全くわからない恐ろしい状態です。

SBOでも動く冷却装置が稼働

SBO、停電状態でも稼働できる冷却装置が以下の二つです。

  • 非常用復水器(Isolation Condenser)通称イソコン
  • 原子炉隔離時冷却系(RCIC:Reactor Core Isolation Cooling system )

イソコン

非常用復水器(イソコン)には冷却水が貯められています。ここに原子炉で発生した高温の水蒸気を送り、熱交換して冷やすことで原子炉の冷却を行う機器です。イソコンに繋がる配管の弁を開ければ、電源がなくとも原子炉を冷やすことができるのが特徴です。

CG:NHKスペシャル『メルトダウンⅢ 原子炉〝冷却〟の死角』

RCIC

原子炉隔離時冷却系(RCIC)は、原子炉で発生した蒸気を用いて小型のタービンを回し、その動力でポンプを動かすことで冷却水を原子炉に戻すことができます。

起動するときには電源が必要ですが、いったん起動すれば電源がなくても蒸気がある限り動き続けます。ただし、電源を使って蒸気の量をコントロールするため、電源喪失時には制御が効かず正常に駆動する保証はありません。

冷却水の水源として、原子炉圧力容器の外側のドライウェルの下についているサプレッションチェンバーを使っています。ここには大量の冷却水が溜まっているからです。

日立GEニュークリア・エナジー株式会社:福島第事故の教訓を反映した 今後の安全確保の考え方
http://www.aesj.or.jp/~safety/H240810seminorsiryou5.pdf

イソコン、RCICいずれも緊急用の冷却装置のため、長い時間しのげるものではありません。
イソコンは、内部の冷却水がどんどん蒸発していくため、いずれ空焚きになってしまいます。
イチエフでは、RCICは2号機以降にしかなかったため、1号機はこのイソコン頼みでした。2号機以降はSBO前にRCICが起動していため、SBO後すぐに危機的状況にはならずに済みました。

水が無くなり、燃料が溶ける:メルトダウン

原子炉内部が十分に冷却できないと、核燃料の崩壊熱でどんどん水が蒸発していきます。これに伴い原子炉の水位はどんどん低下していきます。

燃料を覆いかぶさるようにしていた水が減っていくとある地点で燃料がむき出しになってしまいます。更に水位が低下しついにはゼロとなり、なおも自身のエネルギーで高温になった燃料は溶けていきます。これがメルトダウンです。

メルトダウンにより高温の燃料が溶け落ちると、圧力容器を突き破り、格納容器の底に溜まっていきます。

福島原発事故「10年目の真実」…「東日本壊滅」という最悪シナリオを回避できた「本当の深層」
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/80522

原子炉の内部すら見れない状態のため、メルトダウンした燃料がどこまで落ちているのかわかりません。格納容器の下のコンクリートを更に突き破っていると地下を汚染している可能性もあります。

燃料が溶け水素が発生:水素爆発

燃料棒はジルコニウムという金属で覆われています。
先ほどのメルトダウンですが、実は高温になるだけでは燃料は溶けないようです。

燃料を被覆するZr(ジルコニウム)は高温になると酸化被膜を形成するのですが、その皮膜の融点が2770℃だからです。しかしここに水が注入されて冷やされることで被膜にひびが入り、燃料がバラバラになります。

ここに高温の酸化していないZrが現れ、かつ温度が1300℃以上だと、激しいZr水反応(ジルコニウム水反応)が起こります。Zr-水反応ではZrが水(H2O)の酸素を奪って酸化し、強い発熱でその近傍にある炉心を溶かします。そして同時に水から酸素が奪われることで水素が発生します。

この反応により発生した水素が水素爆発の原因となりました。

参考: 目から鱗の福島発電所事故の真実

イチエフでは2号機を除く1~4号機で建屋が吹き飛ぶ水素爆発が起こりました。その映像はテレビで見ていても衝撃的だったことを記憶しています。この水素爆発の原因となったのがここで発生した水素で、これが圧力容器から格納容器、そして建屋内へと漏れ出したことで引き起こされました。

最大の危機:2号機の格納容器破損

現実には、複数の原発の中でいろんな問題が同時多発的に起こっていました。1~4号機まである中で、2号機を除き建屋が水素爆発で壊れてしまいました。

水素爆発以上に恐ろしいのは格納容器(ドライウェル)自体が壊れることでした。原子炉は燃料が反応する原子炉圧力容器の外側に原子炉格納容器がある二重構造になっていますが、メルトダウンした状態では既にその両方がかなり高い放射性物質を抱えた状態になります。その格納容器が壊れてしまった場合、発電所の人間が全員急性放射線被曝で死亡し、東日本一体が汚染されるレベルの大事故につながる可能性がありました。

温度が上がってくると、熱せられた蒸気と空気が膨張し、燃料が格納されている圧力容器の圧力が上昇していきます。圧力容器は設計圧力が70気圧と元々がかなり高圧です(大気圧の70倍)

圧力容器の圧力が高くなると、SR弁という弁を開けて格納容器へ逃がします。このとき、直接格納容器へ逃がしてしまうと格納容器内が高濃度の放射性物質で汚染されてしまうため、サプレッションチェンバーに溜まっている水を通して放射線量を落とします(1/1000程度)。

しかしこれも限界があり、次第に格納容器の圧力も限界に達します。格納容器の設計圧力は4気圧程度のようです(これは設計の圧力なので運転時はもっと低い)。内部からすさまじい力で容器を広げようとする力にどこかで耐えられなくなり容器が割れてしまいます。

そこで内部の気体を抜いて圧力を下げるのがベント(排出口という意味あり)です。格納容器の気体は放射能汚染を下げるためフィルターで放射線量を下げてから外部へ排出されます。

ベントは何故必要?圧力容器の防爆目的なら弁が自動的に開放するのでは?
http://blog.livedoor.jp/toshi_tomie/archives/52032291.html

ベントが実行できて格納容器の圧力を下げることが成功した1,3号機と異なり、2号機はあらゆる対抗策を講じたものの弁が開かず、ベントができず万策尽きた状態になりました。これは水素爆発による影響で弁が開かなくなっていたようです。

その後奇跡的に格納容器圧力は低下していき危機を脱したのですが、このときなぜ圧力が下がったのかは未だにわかっていないそうです。

参考:福島第一原発事故 東日本壊滅の危機に最も近づいた「2号機爆発」の真相
福島第一原発事故 東日本壊滅の危機に最も近づいた「2号機爆発」の危機 第2回(NHKスペシャル『メルトダウン』取材班)
講談社「現代新書」は、1964年に創刊された教養新書のシリーズです。政治・社会・ビジネスから哲学・思想・芸術まで、幅広い...

3回ものの特集なのですが、2号機の危機について、すなわち映画で取り上げられた部分とリンクする内容になります。上記のリンクは2/3回目の記事ですが、最も内容的に近い部分です。

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なぜ福島原発事故は起きたのか

事故前:津波対策が不十分だった

NHKでは毎年震災の時期にイチエフについて取り上げており、特に20年放送の番組では、津波対策をめぐる東電、国、自治体の動きについて特集されていました。

なお、太平洋側に原発を持つのは、東電、JAEA、東北、日本原電の4社。以下原発における津波対策の検討状況を整理していきます。

2007:新研究・M8クラスの地震&広範囲の巨大津波の可能性を初めて示す

  • 新研究の試算結果は予想津波高さの想定がこれまでの5.7mから15.7mへと上方修正される内容。
  • 東電は当時柏崎刈羽原発が新潟県中越沖地震による全面停止の事態に陥っており、対応に追われていた。
  • 津波対策に割くリソースはが乏しい中、防潮堤の建設には数百億円規模の予算が必要だった。
  • 東電上層部の判断で津波対策は先送りされた。

2008:過去東北を襲った巨大津波最新の研究リポート・896年の貞観津波

  • 貞観津波という巨大津波が過去起きていたことがわかった。東電の試算では、津波の高さは7m以上の想定。
  • 最新の研究に応じて、電力会社が自ら安全性を確認し国(保安院)が評価、結果が他電力へ横展開し、国全体の電力安全性向上へ繋げる「バックチェック」の仕組みがあった。リポートの正確性に対して疑問とし、東電はこの報告書をバックチェックの対象外とした。
  • 東北電力はバックチェック報告書に記載しようとしたが、東電からの圧力で「参考」に修正した。
  • 2009年のイチエフの審査時、岡村委員が貞観津波について指摘。東電が内々に当時の対策では不十分であることは報告したものの、保安院は忖度して切迫性はないという説明をし、続く最終報告期限は東電に委ねた実質的な先送りの容認

対策の先延ばしが問題

上記のような背景を見ると、今回の津波が全くの想定外の規模であったというわけではないことがわかります。一方で可能性の評価が分かれるものに対して莫大な予算をかけて対策を行うことの難しさも理解できます。
しかしながら、せめて最低限の外部電源を活かすなど、コストを抑えた最低限の対策だけでもできなかったのか、悔やまれます。何が根本的な問題だったのか。以下がその要因だと考えられています。

  • メディアや地元からの批判を恐れ、電力会社は横並びで歩調を合わせる圧力が働くようになっていった。津波対策のような施策はたとえ行っていても敢えて他電力には言わないという状態。
  • 保安院(経産省 資源エネルギー庁 原子力安全・保安院)は原発を推進する経産省の中にあり、推進側に歩調を合わせるようになっていった。監視機関として機能せず(事故を防げず12年に廃止) 。
  • 柏崎刈羽原発の対応が独立して考える必要のあるイチエフの津波対策の判断に影響した。

事故語:緊急炉心冷却装置を起動させなかった

事故後の対応で、もっとこうすれば良かったのではないか、という話は色々あると思います。しかしマニュアルにも無い緊急対応の中もっとこうすれば良かったというのは言うは易く行うは難しだと思います。

こうした事情を考慮した上で、ECCSという安全装置について触れておきたいと思います。

ECCS:緊急炉心冷却装置

ここまで書いてきたように、原発には事故時に冷却する設備が何十にも施されています。
「イソコン」と「RCIC」については既に述べました。しかしこれ以外に大量の水を入れて燃料棒を強制的に冷やす「緊急炉心冷却装置(ECCS)」という強力な設備があり、冷却能力では「イソコン」や「RCIC」の10倍あります。

世界のルールではまずこれを動かすことになっているそうなのですが、イチエフでは控えの扱いで起動させませんでした。

ECCSは交流電源で動く設備のため、津波の影響で全交流電源を失ってからは、起動できません。日本の電力業界内では「電源喪失は30分以内に収まると考えてよい」というルールがありました。ECCSを動かすと、原子炉が水浸しになり原発の寿命が縮まります。こうした事態を避けたいという経済的な動機があったようです。

考察

今回福島原発事故について詳しくまとめるきっかけとなったのは、20/03/05公開、門田隆将のノンフィクション「死の淵を見た男 吉田昌郎と福島第一原発」を原作とし、福島原発事故発生直後の5日間について実話を元に描いた、「Fukushima 50」です。この映画は多くの人に見てもらい、一緒にこれからの未来を考えたいと思った映画でした。

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車のバッテリーを直列につないで最低限の電源を確保したり、消防車を動員して冷却水を注水したりとマニュアルにない機転の効いた対応はすごいと思いました。現場の力ですね。
それでも冷却水の供給スピードが間に合わず、1〜3号機で炉心内の水が蒸発しきってメルトダウン、結果を見れば大惨事です。また、一つですら大変なのに、4つもの原発を同時に危機対応しなければならないという事態が状況を悪化させていると思いました。

では福島原発事故は、原子力発電の技術が未熟だったから起こったのでしょうか?原子力発電の仕組み、何重にも施された安全装置は人類の叡智を感じます。しかし、これを扱う人間の愚かさを考慮したときに、どんなに優れた技術も役に立たない危険性を福島原発事故は教えてくれると思います。

津波対策を取っても、危機意識の低さ、大津波などこないという慢心があればこれを使うことができません。事故後のプロセスを見ても、SBOのマニュアルがそもそもなかったり、ECCSが起動されなかったりと、せっかくの多重防御のテクノロジーも使われなければ意味がありません。

原子力発電を使い始めて約半世紀だと思いますが、人類の慢心が招いてしまった事故だと思いました。そしてまた半世紀も経てば、事故のことを知る人間も少なくなり、事故の記憶も風化していきます。そうしたときでも、慢心した人間のエラーまでも含めて技術でカバーできるのか、このあたりが今後の原子力の課題だと思いました。


参考文献

原爆とはウランの濃度が全く違う

原子爆弾は、核分裂しやすい、ウラン235の割合をほぼ100%まで濃縮して一気に核分裂が起こることで爆発するように作られています。

一方、原子力発電所で利用している原子炉は核分裂反応をゆっくりと進ませて、できるだけ長い期間にわたり熱を出すことに重点を置いて設計しているため、その燃料にはウラン235が3%〜5%しか含まれていません。こうすることで制御しやすく、原子爆弾のように核爆発を起こさない設計になっています。

核分裂のエネルギー - 原子力発電 | 電気事業連合会
海外諸国の電気事業について各種情報をお知らせしています。

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福島第一原発事故発生から4年が経とうとしているが、事故原因の究明は遅々として進まず、いまだに多くの謎に包まれている。原子...

メルトダウン File.7
「そして冷却水は絞られた~原発事故 迷走の2日間~」

エラー - NHK

炉心への冷却水を減らした直後の17日からの3日間で炉心の温度が400℃に至り、放射線が大量放出されました。事故全体の4割の放射線量がこのとき放出されました。

国や東電本店、地元まで関与し、原発内のあらゆる意思決定が所長に集中した結果、調整コストが高すぎて危機的状況が2日間見過ごされたことがわかってきました。

結果的に燃料プールの温度上昇、放水作業が優先され、温度計を復活させるための電源復旧作業が2日間後回しにされ、状況把握が遅れました。

メルトダウン File.6
「原子炉冷却 12日間の深層~見過ごされた“危機”~」

エラー - NHK

イソコン(Isolation Condenser)が1号機でSBO後唯一の冷却手段でしたが、40年間一度も起動したことがなく、誰も扱い方をわかっていませんでした。そのため動作状況を正確に把握できず、水がなくなっていることを疑って停止、結果的に冷却に失敗します。

その後事故から12日後まで効果的な冷却ができませんでした。アメリカではイソコンの実動作試験が義務付けられているようです。

Fukushima50は事実を伝えているか

Fukushima50は事実を伝えているか 東日本大震災9年の日、映画に感じた違和感 | 47NEWS
東日本大震災と東京電力福島第1原発事故から、11日でまる9年。このタイミングで、原発事故の対応にあた...

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コメント

  1. いやー、相変わらずよくまとまってますね、すごいです。

    が、当然ながら細部にはよくわからないところがありますね。ICとRCICですが、どちらが良いかは専門家の議論だと思いますが、1号のICが停止したのは痛かったですね。これが動いていたら、1号は大きく違ったし、このタイミングが早かったのが1号をもっとも厳しい状態にした理由ですね。

    2,3号はICはなくてRCICですが、どちらか忘れましたがECCSの一部であるHPCIも働いてましたよね。

    2号のRCICは本当によく頑張った、と思いますが、残念ですね。2号をどうにか救う手段はあったと思いますが、しかしあのような状況だとその選択ができないのが普通だと思いますね。

    先にECCSを起動させるべきだった、という議論があるんですね。えーっと動いていたんじゃなかったっけ?そうじゃないとしても、そこでは水位が確保されているのでほとんど関係ないと思いますね。

    と細部はそうですが、全体については捉えられていてさすがだな、と思います。

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