タイトル

社内で政治力とどう戦うか

どこの会社のどこの組織にもいるんじゃないかと思われる「Mr. スルーパス」。
右から左に流すことが仕事だと思っていて、自分はやろうとしない、上にいい顔をするのは上手で、卓越した政治力でスルーパスを正当化してしまう。
※男性限定ということを言いたいわけではないのですが、ゴロがいいのと、僕自信が男性でしか該当者を見かけたことがないので、ここではMr.とさせていただきます。

最近ものの鮮やかにスルーパスでゴールを決められ、泣き寝入りする目に会ったので、真面目にこの問題をなんとかしなければならないと思いました。
スタートアップでは技術的な課題も山積みなのですが、組織・人で悩むことがより大きいと感じます。

Mr. スルーパスの厄介な特徴
  1. 自分の仕事をこなすだけの力がない、ここでの問題は能力不足よりも解決のための努力をしようとしないこと(誰しも最初からできるわけではない中、各々が少しずつ能力を拡張していかないと新しい課題は解決できない。
  2. 上からの評価が高い、最終的には(自分がやったわけではないが)成果物が出ていくため、上からよくやってると思われる。スルーパスするために、パス相手がやる必要がある建前を仕立てる力に長けている(政治力)。
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英語のプレゼンを押し付けられたケース

まずは僕の今回の例から。

英語で自社製品のウェブセミナーを開くことになりました。内容としては、10分程度で自社の強みを特に一つのトピックに焦点を当ててプレゼンするというものです。

今回海外担当メンバーがこのお話を持ってきまして(それ自体はナイス!)、そのプレゼンを丸投げされた、というものです。

1:いつまでも英語わかりません、いつまでも技術わかりません

今回話しを持ってきた事業開発担当の2名は、Aさん(英語ぺらぺら、技術わからない)、Bさん(英語全くしゃべれない、技術わかってるフリ得意)というペアです。内容が技術的で彼らの手には負えないという理由。

しかし担当となった僕ですが、彼らと同じ事業開発担当であり、その僕が技術要件を満たすのであれば、彼らが満たしていてもいいはずです。
また英語がしゃべれないというBさんは、もう半年以上もこれ言っているんですね。

問題は何かというと、「決して勉強しようとしない」、ということです。
その場対応で英語で外国人と話せ、というのはいきなりではハードルが高いかもしれませんが、プレゼンテーションの場合事前に内容を準備することはできます。

技術も相手が専門家であるわけでもなく、十分理解できる内容です。質疑応答対応で手を貸してくれ、ならまだわかります。

僕は「姿勢」の問題だと思っています。

2.お前は上司の指示が聞けないのか?という殺し文句

当初、AさんBさん共にプレゼンの時間帯に都合が悪くて出席できないという話で、やむなく引き受けざるを得ない状況でした。それでとりあえずプレゼン資料を準備したのですが、そのあたりのタイミングでどうもAさんBさん共に出席できる状況に変わった、と報告を受けます。

では私の出番はないな、と思ったのですが、

Bさん
Bさん

3にんでやりましょう

と言うんですね。たかだか10分のプレゼンにしゃべらない人も含めて3人で臨むなど非効率極まりない、機会損失も大きいので僕は遠慮させていただきます。と言ってたのですが、ゴニョゴニョ言っています。

その後メール上で押し問答があったのですが、きっぱりお断りすればさすがに自分でやるだろう、と勝手に思っていたのですが、数日後打ち合わせの場でこう言われました。

Bさん
Bさん

仕事ですので、あなたの意思とは関係ありません。
あなたの仕事は我々(事業開発部)の上位職が決めるのであってあなたが決めることではありません。つまりあなたにNoという権利はありません。

この話をする前に我々の上位職である事業開発部長と社長を含めた打ち合わせを僕がいない場で行い、僕がやるという了解を得ていたのです。

「わかりました、がんばってやります、準備協力してください」と言われるとばかり思っていたので、これを直接言われたときには鮮やかすぎる政治手腕に呆気にとられて怒りも忘れました。

ちなみに僕は事前に上司に確認し、こういうやり取りをしていました。

僕

これこれこういう状況で、私は必要ないと思うんですが、どう思われますか?

上司
上司

そのとおりだと思うけど、まあ自分たちでできるか不安なんじゃない?
ちなみにそれは、俺からAさんBさんに言えって言ってる?

このときは我ながらつまらないことを上司に言ってしまったと反省し、「失礼しました、自分でいいます」と言って去りました。

Aさん、Bさんはこのあたりも見越してか見越してないか、上司だけでなく社長も巻き込み意思決定をしたわけですが、その場で上司は何も言わなかったそうです。

この政治力に長けた人間がスルーパスで手柄だけ持っていくことは何が問題かというと「被害者のやる気が低下すること」です。
今回は僕が罠にハマりましたが、これまでにも繰り返されていて、被害者は他にもいて(チームリーダークラスばかり)、見ていて実感も込めて思う一番の問題はここです。

実態としては会社としてアウトプットは出るわけですし、表面的な問題はなさそうです。自分にできない仕事を人に頼むのは仕方がないことですし、それ自体が悪いとも思いません。
なのでやはり姿勢の問題が大きいと思います。

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たどり着いた一つの解決策は360度評価

大企業組織をスタートアップ組織に変える

政治力に対抗できるほど僕には政治力はありません。また、自分だけが対抗できても意味がなく、組織としてMr. スルーパスが安穏とできる状態を切り崩さないといけません。

この問題は、スタートアップというより大きな組織の問題だと思います。
創業間もない会社でこういう問題が起こるのは、カーブアウト型の弊害だと思います。

大企業での新規事業がカーブアウトする形の場合、大企業側で携わっていた人間がごっそりスタートアップに転籍という形が自然な流れです。

そこにいる人達は、大企業での仕事のやり方でこれまで生きてきた方々であり、当然みんながみんな事業立ち上げをしたくて入った人たちでもないですし、年配者はすっかり仕事を右から左に流すMr. スルーパスになっている人も少なからずいます。

言い方悪いですが、投資家から頂いている限られたお金でスタートアップさせないといけない身としては、事業貢献度の低い人材はお断りし、人選して転籍させたいのが正直なところなのですが、なかなかそうした交渉は出身元の企業と滑らかには進みません。

したがって、カーブアウト型スタートアップの場合、もともと大企業にいた人たちにマインドセットを変えていただき、+新しく入ってきた人たち(僕含む)と一緒にカルチャーを作っていく必要があります。

横・下からの目線が行動を変えるきっかけを作る

上層部に理路整然とおかしいと訴え、自分の仕事を自分でやるように落としてもらう、というやり方もあるかもしれませんが、政治力に長けた人たちなので巧妙に受け流すと想定されます。

やはり難しいですが自ら自分の行動について「これではいけない」と思ってもらう必要があると思います。そのため、「横・下からの評価軸」が加わることが必要なのではないかと思いました。

それが最近よく聞くようになった「360度評価」です。

360度評価(多面評価)とは上司や部下だけでなく社外関係者といったさまざまな立場の関係者が評価を行い、対象者の人物像や仕事ぶり評価する手法です。上司と部下の1対1の評価ではなく、複数の評価者が全方位的に実施するため多面評価とも呼ばれます。

BOXIL「360度評価・多面評価とは」
https://boxil.jp/mag/a2779/?utm_source=google&utm_medium=cpc&utm_campaign=360hyoka-z&gclid=Cj0KCQjwx7zzBRCcARIsABPRscOwMY9RLG5k7laYjCOjE5oBzSss2WRkQ06j04ulhdN-YlrYvz7G8FMaAlyBEALw_wcB

上のリンクの中で、メリットとして以下の3つが取り上げられています。

  1. 複数評価の客観性・上司が把握できなかった評価の補完
  2. 成長のきっかけになる「気づき」
  3. 企業ミッション・行動指針の浸透

まさに今の問題解決にピッタリだと思いました。自分で努力しようとせず、スルーパスして上司へのアピールが熱心というフィードバックが下や横から上がってきたら上司への写り方も変わります。そして、そういうフィードバックが来ることを考えると、いたずらにスルーパスもできません。

評価軸としての行動指針がセットで必要

そして重要なのはその「評価軸」です。ただ360度評価を導入しても、何をもってどう評価するのかというのがバラバラになると主観的な感情評価になり、好き嫌いの話になってしまいます。
だからこそ、バリューや行動指針という形で「そもそもどう行動してほしいのか」という指針を規定し、それに合っているかどうかで上下左右から評価し合うというのが大事だと思います。

そもそも、Mr. スルーパスが上層部にあふれていて、みんなそれで出世してきた、となった場合、スルーパスが出世するための合理的な行動になってしまいます。スルーパス自体が悪いというのも一つの価値観でしかないため、良し悪しの定義がないと平行線から脱せません。

例えば行動指針として「主体的に取り組む」という指針があれば、スルーパスはこの指針に合っていないと言うことができます。

メルカリのバリュー

個人的にそのまま自社に導入したいくらい好きなのがメルカリのバリューです。これが採用ページに書いてあるのがまたいいなあと思います。

ミッションとバリュー
メルカリには、メンバー全員の手によって達成したいミッションがあります
  • Go Bold:大胆にやろう
    • 世の中にインパクトを与えるイノベーションを生み出すため、全員が大胆にチャレンジし、数多くの失敗から学び、実践します。
  • All for One:全ては成功のために
    • 一人では達成できない大きなミッションを、チームの力を合わせ、全員が最大のパフォーマンスを発揮することで実現します。
  • Be a Profesional:プロフェッショナルであれ
    • メンバー全員がその道のプロフェッショナルとしてオーナーシップを持ち、日々の学びを怠らず、成果や実績にコミットします。
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導入へ向けて

さっそく経営企画のメンバーに問題意識を共有しました。幸い360度評価はこれから導入しようと思っている項目に入っていたため、合わせて行動指針が必要だということを述べさせていただきました。

スタートアップに入ったという感覚以上に、異なる文化の企業の中に入ったという感覚が強いのですが、いろんな断面で自分の当たり前がこの会社の当たり前じゃないと感じることがあります。

率先垂範、自らはGIVEし続けることで信頼を得てみんなで進んでいく、これで万事問題がなければ理想的ですが、やはりそこには微塵も良心の呵責を感じさせない態度でフリーライドしてくるMr. スルーパスもいます。

悲しいですが性善説に頼り切るだけでは、彼らに対抗するのは難儀だと感じます。そこで必要なのは行動指針と、それに則っているかをみんなで確認し合う360度評価という仕組みなのではないでしょうか。

これから導入プッシュをしていきたいと思います。

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日本の女性の社会進出がなぜ進まないのか、という話の中で、モデルとして北欧が挙げられた時に、スウェーデンでは必要に迫られた、という話が面白かったです。

つまり、小国であるスウェーデン含む北欧諸国では、社会システムを維持するために女性が社会進出することが、生存上必要に迫られたというのです。

お年寄りと子供が働けないことを考えると、もし男性しか働かない場合労働人口はざっくり1/4(25%)になりますが、女性が加わるとこれが1/2(50%)になります。
人口が少ないと、社会保障を維持できなくなるため、労働参加率を上げていかないと国が成り立たなかった、と。

つまり、日本も次第に社会保障に耐えきれなくなりつつあるので、必然的に進んでいくだろう、というのです。これはとても納得しました。

一方後日友達とこの話をしていた時に、「スウェーデンが成り立っているのは安い労働力を輸入しているからだ」と言っていました。
つまり、男性も女性も働きに出ている中で家庭を成り立たせるにはベビーシッターなり家政婦が必要で、その労働力は東南アジアからの出稼ぎ労働者で賄われているというのです。

なるほど確かにスウェーデンは社会保障と女性の社会進出が進んだモデル国家として取り上げられることも多いですが、外部の力に依存している部分も大きく、すべての成熟国家ができるわけではないと気づきました。

やや話が脱線しましたが、この動画の対談はゲストのトークが面白かったです。

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